OSNニュースレター 66号 ① |
2008年 3月 25日発行(3月号)

“何と不思議な人生を親子共々歩む事でしょうか。まるで小説を読んでいるようです。幸も禍も全て主からいただくものでありますなら、ひとつひとつに大きい意味があることでしょうと思います。” 横田さんの美しい文字で書かれた心情溢れる文章には、想像もできない過酷な悲しみと苦しみを30年も背負ってこられた母親のもとは信じられない優しさと確信に溢れていて深く感動させられました。
1989年の春から夏にかけて、私達家族は新潟県の佐渡ケ島に家族で住んでいました。娘達を家内が連れて,畑野から6kmほど西にいった真野町の海岸で遊ばせていました。佐渡の子どもはファミコンの普及に伴い自然のなかで遊ぶ事がなくなったので、元気に砂浜を走り回る娘達の姿が珍しくて、 通りがかった老婆が不思議そうに眺め声をかけてきたそうです。
娘達が遊んでいた海岸のほんの近くで、19才の曽我ひとみさんが11年前の1978年8月12日、母親のミヨシさん(当時46才)ともども北朝鮮工作員に拉致され、 北朝鮮に運ばれていたことなど、夢想だにしなかったことでした。ひとみさんが拉致される前年の11月15日、やはり新潟で横田夫妻の長女めぐみさんが下校途中に拉致され、猿ぐつわをかまされ、目隠しをされ、足を結わえられ、袋の中に詰め込まれて,北朝鮮に運ばれていきます。”鉄の扉をひっかき、彼女の爪は血だらけで,嘔吐した汚物にまみれていた”と、脱北した元工作員の安明進氏は証言しています。
北朝鮮に拉致された人々を厳しい監視下で収容する“招待所”で、ひとみさんとめぐみさんは出会いますが、めぐみさんは曽我ひとみさんを姉のように慕い、2人が布団の下で、会いたくても会えぬ親や故郷を想い“ふるさと”を歌ったそうです。私は、横田さんさんから贈られた著書のなかで、この箇所を読んだとき、涙がでて止まりませんでした。ヨーロッパに住む私たちは自由意志で祖国を離れた訳ですから、自由を奪われている被害者の同胞とは比べ物にはなりませんが、肉親に会おうと思ってもすぐに会えない何万キロと離れた異文化のなかに住む私たちにとっても、全く無縁とはいえず、少しですが、めぐみさん達の掻きむしられるような望郷の念が理解出来るのです。
曽我ひとみさんは24年後帰国を果たしましたが、24年間娘と妻の帰りを待ちわびていた父親は,僅か7ヶ月ともに生活をしたのみで他界されます。多くの拉致被害者の親達は高齢化しております。娘や息子を一目でも会わせ抱きしめさせてあげたいと切に願い祈る日々です。
祖国 日本からは桜便りも聞こえてきますが、スイスでは白い復活祭とはよくいったもので、真冬がこの東スイスにも舞い戻り、アッペンツェラーランドは白い冬景色となりました。しかし、希望と生命感に満ちた春がそこまできております。もう少し辛抱して百花撩乱のスイスの春を楽しまれるよう願ってやみません。また、今年も東スイスねっとわーくでは、和菓子作り講習会、ボーデン湖でのピクニック、ゴーリング大会と出会いの場を作っていきますので、どうか大勢の会員家族が参加されますよう御願いします。
東スイスねっとわーく代表 松林幸二郎
ニュースレター もくじ
1. OSN 2008年度年間行事のお知らせ
2. OSN工房・和菓子教室のお知らせ
3. 日本国際飢餓対策機構より感謝状届く
4. 「ひめゆり」ホームシアターのお知らせ
5. TAGESBLATTにKEELあかねさんのインタビューが掲載
6. 今月のドイツ語 諺
7. 東スイスの花
8. 我が家のレシピ
9. 今月のジョーク
1. OSN 2008年度年間行事のお知らせ
2008年度のOSN年間行事が決定しました。早速カレンダーに記入してください!
各イベントの詳細につきましては、イベント開催の前月のニュースレターにてお知らせいたします。
5月17日(土) 和菓子教室 会場:St.Gallen
6月15日(日) ピクニック & バーベキューパーティ in Ermattingen
恒例のスイカ割りや、パン食い競争が行われる予定。
9月20日(土) ボーリング大会 & スパニッシュディナー 会場:Widnau
リヒテンシュタイン日本友好会主催のイベント
こちらのイベントにもどんどん参加して、友達の輪をさらに広げてみませんか?
5月25日(日) ヨーロッパ最大の水芭蕉群生地へピクニック in Bangs, Österreich
8月24日(日) グリルパーティ in Triessen, Liechtenstein
9月28日(日) 秋の遠足 Heidi Land, in Meienfeld
リ日友好会主催のイベントに関するお問い合わせは・・・
http://www.fl-jap-friendship.li/
もしくは g.seo@fl-jap-friendship.li にて。
2. OSN工房・和菓子教室のお知らせ
OSN新年会で食べた、あのおいしい和菓子を覚えていますか?

お早めにお申し込みください。
【講師】 イェーガー知代さん
【日時】 5月17日(土曜日) 午前10時開始(各自昼食持参のこと)
【場所】 ザンクトガレン駅のそば、川原ベニンカーサ由紀子さんアトリエ
【費用】 一人30フラン
【連絡先】 OSN事務局
【申込締切日】 5月4日(日)
申込いただいた方に当日持ち物の詳細などをおしらせします。
3. 日本国際飢餓対策機構より感謝状届く
2008年度OSN新年会で行われたトンボラの売上金の半分にあたる3万円を、日本国際飢餓対策機構へ寄付いたしましたところ、理事長・堀内顕様より感謝状が届きました。感謝状の内容は以下の通りです。
感謝状
あなたは世界の飢餓の悲惨に対して、日ごろから関心をよせられ
殊にこのたび愛の寄付金を寄贈されました。
ここにあなたの善意に対して、心より感謝の意を表します。
2008年 2月 12日
日本国際飢餓対策機構 理事長
堀内 顕
多くの皆様の温かいご支援によって、日本国際飢餓対策機構の働きは
すすめられています。世界各地に派遣されたスタッフたちは、飢餓や貧困と
闘う人々とともに自立を目指して奮闘を続けています。大変息の長い働きですので、なおいっそうのご理解とご協力をよろしくお願いもうしあげます。
日本国際飢餓対策機構とは:
人間の尊さを重んじて地球家族に奉仕する非営利のNGO(民間援助協力団体)です。1981年一人の日本人がインドシナ難民救援から帰国したのを契機に始まりました。以来、国際飢餓対策機構とパートナーになり、国連諸機関、民間諸団体などと協力し、アジア、アフリカ、中南米の開発途上にある国々で,「世界の飢えた人々に食料と愛を」を標語に、物心両面の飢餓対策にあたってきました。東スイスねっとわーくでは、3年前から新年会のトンボラ販売によって得られるお金の半分を日本国際飢餓対策機構に寄付をさせていただいています。
一分間に17人(うち12人がこども)
一日に2万5千人
一年間では約1000万人
が飢えのために生命を失っています。
日本国際飢餓対策機構のホームページです:日本国際飢餓対策機構
4. 「ひめゆり」ホームシアターのお知らせ
学生時代からの友人の柴田昌平監督が、長編ドキュメンタリー映画”ひめゆり”を2006年に作成しました。内容的に商業ベースにはのらないので、観たいという人の”声”をもとに上映を展開しています。13年間かけてひめゆり学徒隊の生存者と向き合ってきた”命“の証言の記録、”ひめゆり”、重厚な作品です。
彼は一浪して東大法学部に入ったのですが、途中で文化人類学に転部。就職はMedia志望で、朝日新聞を写真部で受験しようとしていた時に、以前朝日新聞に勤めていた私の父に、映像をやるならNHKでしょうと諭され受験。役員面接まで短パンででかけようとしていた。と学生当時は個性派、今は仕事には厳しく、二人のお嬢さんには優しい45歳です。
NHKも沖縄放送局から東京本社に戻って数年後、自分の意にそわないことがあって退社、今はプロダクションを設立して活動しています。NHKを自分からやめたということで苦労も多いようです。それでもおとどしはその力量をかわれ、NHK特集新シルクロードを2本担当しました。また去年8月のNHKスペシャル世界里山紀行も、フィンランド、雲南編は柴田君のプロダクションが製作しました。
http://www.asia-documentary.com/

http://www.himeyuri.info/tenseijingo.html
http://www.himeyuri.info/howto.html
監督ブログにもありますが、いくつか賞も受賞しました。
http://www.himeyuri.info/kantoku_blog/
JCJ(日本ジャーナリスト会議) 特別賞
文化庁映画大賞(文化記録映画部門) 大賞
日本映画ペンクラブ(文化映画部門)ベスト1 位
キネマ旬報ベスト・テン(文化映画) 第1位
全国映画賞、監督賞
高崎映画祭 特別賞
日本映画復興会議 奨励賞
おとどしの映画完成から、映画“ひめゆり”を観る会事務局の上映展開の手伝いをしています。この作品をひとりでも多くの方に紹介してゆくことを、私のライフワークにして、スイスでの上映は当面ホームシアター形式でおこないます。いつの日かスイスでも大きな会場での上映会を実現させたいと願っています。この映画はDVD化はせず、上映のみで展開しています。著作権等諸事情がございますので、海外での上映、ホームシアター形式は今のところスイスのみとなっています。
本編2時間10分プラス監督挨拶15分を、我が家で静かな環境でみられる曜日は、月、木、金の朝8時30分から13時30分、随時開始(16時までに終了)。
ご興味がおありでしたらご連絡下さい。1回に3名までお席の準備ができます。勿論おひとりでもかまいません。土日、夜の上映についても可能性はございますので、ご相談下さい。4月20日まで里帰りで留守にしておりますので、上映は21日以降の受けつけとなっています。
“ひめゆり”の上映に際しては上映費(10フラン)、映画資料パンフレット(10フラン、これは任意)をいただいています。ご了承下さい。 これは配給先のプロダクションエイシアに届け、今後の証言の記録に役立ててもらいます。また日本のご家族、友人の方に“ひめゆり”の情報を転送していただけたら嬉しいです。
ルエグ木原 さやか (Baden近郊 在)
Email: sayaka@ruegg.com
続きます↓