2008年 04月 12日
領事マガジン 17号 |
2008年4月10日発行
1. ごあいさつ
スイス在住の皆様こんにちは!大使館領事の村上です。
4月に入ってから突然寒くなり、街でも雪が降り、春はまだ少し先といった感じですが皆様いかがお過ごしですか?昨年から続いているベルン駅前の大がかりな工事も着々と進んでおり、2ヶ月後のEURO08が開始される頃には、ガラス張りのアーケードがお披露目されることでしょう。開催中、スイス各都市において盗難や暴力事案が発生せず、大会が大成功に終わると良いですね。
2. 今月のトピック
新聞を読んでいるとちょこちょこ目にするトピックに鳥インフルエンザ(Vogelgrippe)がありますが、「グリッペ」なんてかわいい名前をしているくせに、これが世界に甚大な被害をもたらすかもしれないものだということをご存知ですか? 今月は鳥インフルエンザに関する一般的な情報と対策についてお知らせいたします。
まず、鳥インフルエンザとはどのようなものなのでしょうか? これは、鳥類がA型インフルエンザに感染して起こる病気のことで、感染して発病する鳥類は、鶏や七面鳥等の家禽が主で野鳥での発病は希なようです。そして現在最も注目されているのがH5N1亜型と呼ばれるもので、A型インフルエンザウイルスの亜型の1つであり、人間、その他多くの動物にインフルエンザを引き起こすとされています。
それでは、現在WHOが公表している鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症時例(2003年11月以降)について見てみましょう。
ブログ用に縮小しています。元のサイズでご覧になりたい方はOSN事務局までお知らせください。
やはり全体的にアジア、特にインドネシアで多数発生していることがわかりますね。
次に、当国スイスでの現状について調べてみますと、これまでスイスでは合計33件の鳥インフルエンザが確認されており、それらは全てジュネーブ湖及びボーデン湖で死亡している鳥から発見されたものとなっています。また、最近ルツェルン州にあるゼンパッハ湖でH5N1型に感染しているホシハジロが1羽見つかっていますが、症状は全く出ていないようです。
それでは、実際に人がH5N1型に感染した場合、死に至る確率はどの程度なのでしょうか? WHOの報告によりますと、その確率は非常に高く現在約60%となっています。一概に比較することはできませんが、1928年に大流行したスペインかぜ(H1N1)の致死率が約10%となっていることを考えると、ちょっと怖いですね。そして今恐れられているのが、このH5N1亜型インフルエンザがヒトからヒトへ感染するものに突然変異し、短期間で世界的に大流行(パンデミック)することです。
このパンデミックに備えるべく、現在、各国でプレパンデミックワクチンや感染後に有効とされているタミフルやリレンザの備蓄が進められていますが、これも実際に起こってみないと確実に流行を防ぐことができるか分からないようです。
最後に家庭でできる対策として、
1. 鳥インフルエンザ発生国においては、生きた鳥を扱う市場、鶏舎への立入を避ける。
2. 動物との接触後は、手をしっかり洗う。
3. 死んでいる鳥を見つけた場合は、絶対に触らない。
4. パンデミックに備え、マスクや非常食を備蓄する。
などが挙げられます。
今月は、シリアスな話題になってしまいましたが、いずれは起こるといわれているパンデミックに備え、アンテナを高くし広く情報を収集していただければ幸いです。
3. お知らせ
5月はチューリッヒ名誉総領事館において、在外選挙人登録受付のため出張いたします。本機会に旅券業務や事前にご連絡いただいた証明関係申請も併せて受け付けますので、当館領事班までご連絡の上ご利用下さい。
細部は、当館HP www.ch.emb-japan.go.jp よりご確認願います。
4. 領事のつぶやき
3月は常に家族の誰かが風邪をひいており、私も2週間ほど咳に苦しんでいました。その際、人にうつさないよう日本から持参した大きなマスクをしていたのですが、街を歩いていると何故か他人の視線が・・・。そういえばこの国でマスクをしている人を見たことがないっ!後ほど地元の方に「マスクを付けて歩いていると奇妙に見える?」と確認したら、「マスクは特殊な作業をする人か強盗がつけるもので、カゼで付ける人はほとんどいないよ」とのこと。ご、強盗!?連邦政府がマスクの備蓄を推奨しているのに、まだマスクの重要性や有効性が浸透していないようですね。パンデミックに備えスイス国旗タイプ、各州旗タイプ、「風邪」など怪しい漢字入りタイプのマスクなどなど作ったら売れ・・・ないですね。
5. 各種お問合せ先
在スイス日本大使館HP
www.ch.emb-japan.go.jp
領事業務に関するお問い合わせ
ryojihan@bluewin.ch
領事マガジンの申し込み
OSN事務局に一度お問い合わせください。
国立感染症研究所
idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
1. ごあいさつ
スイス在住の皆様こんにちは!大使館領事の村上です。
4月に入ってから突然寒くなり、街でも雪が降り、春はまだ少し先といった感じですが皆様いかがお過ごしですか?昨年から続いているベルン駅前の大がかりな工事も着々と進んでおり、2ヶ月後のEURO08が開始される頃には、ガラス張りのアーケードがお披露目されることでしょう。開催中、スイス各都市において盗難や暴力事案が発生せず、大会が大成功に終わると良いですね。
2. 今月のトピック
新聞を読んでいるとちょこちょこ目にするトピックに鳥インフルエンザ(Vogelgrippe)がありますが、「グリッペ」なんてかわいい名前をしているくせに、これが世界に甚大な被害をもたらすかもしれないものだということをご存知ですか? 今月は鳥インフルエンザに関する一般的な情報と対策についてお知らせいたします。
まず、鳥インフルエンザとはどのようなものなのでしょうか? これは、鳥類がA型インフルエンザに感染して起こる病気のことで、感染して発病する鳥類は、鶏や七面鳥等の家禽が主で野鳥での発病は希なようです。そして現在最も注目されているのがH5N1亜型と呼ばれるもので、A型インフルエンザウイルスの亜型の1つであり、人間、その他多くの動物にインフルエンザを引き起こすとされています。
それでは、現在WHOが公表している鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症時例(2003年11月以降)について見てみましょう。
ブログ用に縮小しています。元のサイズでご覧になりたい方はOSN事務局までお知らせください。
やはり全体的にアジア、特にインドネシアで多数発生していることがわかりますね。
次に、当国スイスでの現状について調べてみますと、これまでスイスでは合計33件の鳥インフルエンザが確認されており、それらは全てジュネーブ湖及びボーデン湖で死亡している鳥から発見されたものとなっています。また、最近ルツェルン州にあるゼンパッハ湖でH5N1型に感染しているホシハジロが1羽見つかっていますが、症状は全く出ていないようです。
それでは、実際に人がH5N1型に感染した場合、死に至る確率はどの程度なのでしょうか? WHOの報告によりますと、その確率は非常に高く現在約60%となっています。一概に比較することはできませんが、1928年に大流行したスペインかぜ(H1N1)の致死率が約10%となっていることを考えると、ちょっと怖いですね。そして今恐れられているのが、このH5N1亜型インフルエンザがヒトからヒトへ感染するものに突然変異し、短期間で世界的に大流行(パンデミック)することです。
このパンデミックに備えるべく、現在、各国でプレパンデミックワクチンや感染後に有効とされているタミフルやリレンザの備蓄が進められていますが、これも実際に起こってみないと確実に流行を防ぐことができるか分からないようです。
最後に家庭でできる対策として、
1. 鳥インフルエンザ発生国においては、生きた鳥を扱う市場、鶏舎への立入を避ける。
2. 動物との接触後は、手をしっかり洗う。
3. 死んでいる鳥を見つけた場合は、絶対に触らない。
4. パンデミックに備え、マスクや非常食を備蓄する。
などが挙げられます。
今月は、シリアスな話題になってしまいましたが、いずれは起こるといわれているパンデミックに備え、アンテナを高くし広く情報を収集していただければ幸いです。
3. お知らせ
5月はチューリッヒ名誉総領事館において、在外選挙人登録受付のため出張いたします。本機会に旅券業務や事前にご連絡いただいた証明関係申請も併せて受け付けますので、当館領事班までご連絡の上ご利用下さい。
細部は、当館HP www.ch.emb-japan.go.jp よりご確認願います。
4. 領事のつぶやき
3月は常に家族の誰かが風邪をひいており、私も2週間ほど咳に苦しんでいました。その際、人にうつさないよう日本から持参した大きなマスクをしていたのですが、街を歩いていると何故か他人の視線が・・・。そういえばこの国でマスクをしている人を見たことがないっ!後ほど地元の方に「マスクを付けて歩いていると奇妙に見える?」と確認したら、「マスクは特殊な作業をする人か強盗がつけるもので、カゼで付ける人はほとんどいないよ」とのこと。ご、強盗!?連邦政府がマスクの備蓄を推奨しているのに、まだマスクの重要性や有効性が浸透していないようですね。パンデミックに備えスイス国旗タイプ、各州旗タイプ、「風邪」など怪しい漢字入りタイプのマスクなどなど作ったら売れ・・・ないですね。
5. 各種お問合せ先
在スイス日本大使館HP
www.ch.emb-japan.go.jp
領事業務に関するお問い合わせ
ryojihan@bluewin.ch
領事マガジンの申し込み
OSN事務局に一度お問い合わせください。
国立感染症研究所
idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
by os-net
| 2008-04-12 15:28
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